2008

エクアドルECUADOR

Centro de Rehabilitación Femenino

エクアドル壁画プロジェクトMural Project in Ecuador

エクアドルの首都キト、キトゥンベにあるCentro de Rehabilitación Femenino 女性更生施設(女性刑務所)には、現在約60名の受刑者が収監されています。同施設には受刑者の子どもを預かる施設があり、母親以外に頼る存在がない乳児、幼児約40名が母親と共に塀の中で生活をしています。刑務所という閉じられた環境で暮らす子供たちに少しでも明るくポジティブな幼少期の記憶を残してもらうために、また受刑者である母親と共同で壁画を制作することで、彼女達の社会復帰後の社会生活を前向きなものにしたいという思いで制作を行いました。また2018年は日本とエクアドルの外交関係100周年の記念年にあたり、このプロジェクトは日エクアドル外交関係樹立100周年事業として行われました。

壁画テーマ「ハチドリのひとしずく」Theme of Mural

テーマとして選定したのはエクアドルに伝わる先住民の話「ハチドリのひとしずく」。森が火事になった時に、一匹のハチドリ(クリキンディ)がくちばしで一滴の水を運んでは火の上に落としていきます。動物達が「そんなことしてなんになるんだ?」といいますが、クリキンディは「私は、私に出来ることをしているだけ」と答えます。
壁一杯の色とりどりの花々は、受刑者たちが一人一輪それぞれの想いを込めて描いたもので、その花をハチドリがプレゼントをくわえて行き来しています。ここで暮らす全ての人たちに幸せが訪れるよう願いを込めて描きました。

100周年記念バスペイントBus paint

日本とエクアドル外交関係100周年を記念して制作したバスペイントです。いすゞ自動車株式会社様からバスを提供いただき、NGO Plan Internationalの子供達と共に日本祭の会場で制作されました。バスはGeneral Motors Ecuadorを通してエクアドルの低所得の子供たちの交通手段として利用されます。

絵画教室Art School

株式会社サクラクレパス様より協賛していただいた画材を使用して、ミヤザキケンスケ指導のもとCentro de Rehabilitación Femenino 女性更生施設の子供たち(0〜3歳)にお母さんの顔を描くワークショップを行いました。沿岸部のハラミホ市では子供たちにアクリル絵の具を使って自由に表現してもらい、優秀な作品を制作した子を表彰しました。


エクアドル大地震の被害があった小学校との交流プログラムWorkshop

東京都渋谷区、埼玉県川口市、島根県隠岐島、佐賀県嬉野市、宮城県仙台市など、日本全国の子供たちと制作した、鎮魂・復活そして生きる人たちへの元気付けを意味する’花火’の絵を、2016 年に起こったエクアドル地震で被災したハラミホ市の子供たちに届けました。さらに同市で行ったワークショップを記念して9月17日はハラミホ市の「アートの日」に制定され、毎年この日に子供たちと絵を描くワークショップが開催されることになりました。

リレーフラッグ制作Art Relay Flag

エクアドル(ハラミホ市)の子供たちと、次の開催地ハイチの子供に届けるフラッグ制作をしました。このフラッグは来年ハイチに届けられ、ハイチから次の国へリレーされます。

エクアドル壁画プロジェクトを振り返ってReflection on the Ecuador mural project

表の市場の活気が嘘のように、重い扉を開けると張りつめた緊張感がただよう。持ち物をチェックされ、ボディーチェックを受け、腕に丸いスタンプが押される。受付にパスポートを預け、もう一つの鉄の扉を通ると中にはオレンジの服を着た女性達が朝の身支度をしている。
「Buenos Dias!」目が合うと声をかけてくる女性たち、我が子に授乳している女性はにこやかに手を上げる。小さなサッカーゴールに結んだロープにはカラフルな洗濯物が雑然と並んでいる。公衆電話で話し込むもの、洗濯物を取り込むもの、一見ありふれた風景のようにも見えるが、ここにいる女性達はみな刑務所の受刑者だ。
エクアドルの首都キト、キトゥンベにあるCentro de Rehabilitación Femenino 女性更生施設(女性刑務所)には、女性受刑者の他にその子供たち、約40名が共同生活をしている。壁の外を知らないで育つ子供たちのために、今回Over the Wallは施設内の保育施設からよく見える壁に壁画を残すことにした。女性たちに一人一輪花を描いてもらい、共同制作で壁画制作を進めた。

「Porque escogiste esta flor? なんでこの花を選んだの?」

絵を描きながら話しかけると、照れたように質問に答えてくれた。この色の花が好きだから、花言葉の意味が気に入ったから。はじめは暇つぶしできていた彼女たちも、次第に制作に熱を帯びてきているようだ。ある女性は質問にこう答えた。

「亡くなった息子のために白い花を描いている」

彼女は子供の医療費を手に入れるために麻薬を運び捕まり、収監中にその子供は亡くなった。カラーリリーの花を描いている後ろ姿には、息をのむほどに張りつめた緊張感があった。
これまでで最多の人数で制作した40mに及ぶ壁画には、60種以上の鮮やかな花々で埋め尽くされ、その花をハチドリたちが飛び交っている。エクアドルの先住民族の物語「ハチドリのひとしずく」をモチーフに、ここで生活する全ての人に幸せが運ばれてくるよう願いが込めて描いた。
完成披露の前日に、女性達は私たちに感謝を伝えるために集まってくれた。一緒に壁画を描けた喜びと感謝の気持ちが溢れ、その場で女性達は一斉に泣いた。世界中の人にこの壁画を見せることは出来ないが、一番届けたい人たちに私たちの作品はしっかりと届いた。

Over the Wall 世界壁画プロジェクト アーティスト
ミヤザキ ケンスケ

壁 画

100周年記念バス
2018年8月26日
760 × 300 × 230 cm

ハチドリのひとしずく
2018年9月14日
4,000 x 400 cm

日 程

8/21
エクアドルへ出発
8/25、26
「日本祭り」にてバスペイント
8/29 – 9/13
女性刑務所にて壁画制作・ワークショップ
9/14
女性刑務所にて完成披露会
9/17 – 9/18
ホセ・ホアキン・デ・オルメド小学校にてワークショップ
9/23
帰国

  

クルー

アーティスト
ミヤザキ ケンスケ
プロジェクトリーダー
山田 拓也
カメラマン
小野 慶輔
ビデオグラファー
イ・チャンハン
アシスタントカメラマン
ソン・ミヌク
ワークショップ
向谷地 陽太、林 美貴、影山 礼子
会計
福井 大輔
通訳
イサベル・ファッチーニ
翻訳
ウェンディ・ウチムラ
スタッフ
Bab Naoaki、後閑 宗一郎、伊藤 太一、沖田 萌未、岩見 奈津代、春山 真菜美、小山 友里、桜田 夕紀子、安倍 愛、イ・ユジン
現地協力
高橋 直、イルマ・オルティス
  • 主催:Over the Wall
  • 受け入れ先:Centro de Rehabilitación Femenino 女性更生施設、エクアドル政府法務省
  • 後援:在エクアドル日本国大使館、在日エクアドル大使館
  • 助成:ソロプチミスト佐賀
  • 協賛:株式会社サクラクレパス、いすゞ自動車株式会社、株式会社未来企画、株式会社ぷろぺら、KOMABA、GLOCAL CAFÉ、こぐま会、株式会社サガシキ、Pinturas Condor、石坂産業株式会社、株式会社EWMジャパン、Casa Emmaus、星のおじさま美術館、デイサービス宅老所芽吹き、 Sherwin-Williams(順不同)
  • 協力:日エクアドル外交関係樹立100周年実行委員会、ホセ・ホアキン・デ・オルメド小学校、ベクトカルチャー株式会社、伊藤忠商事株式会社、株式会社みらいスクール、佐賀県国際交流プラザ、ゼネラルモーターズ、Plan International、墨田幼稚園、株式会社ソキュアス
  • 特別協力:宮浦 歩美、根上 サチ、サラ・アライ
  • 活動支援:オーバーザウォール年間サポーター / パスポートホルダー